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くみあいニュース

1999年度第6号
1999年8月21日


島根大学教職員組合広報部
内線2198
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WWW:http://sula0043.soc.shimane-u.ac.jp/kumiai/kumiai.html


☆☆☆「独立行政法人化」問題特集☆☆☆

■タレパンダに騙されるな! 国立大学の「独立行政法人化」をめぐる動き急

日経が8月18日「進めたい国立大学の独立行政法人化」と題する社説を出し、翌19日には読売が「文部省原案」を紹介するなど、独立法人化問題は大学の外でも取り上げられる状況になりました。くみあいでも7月22日のフォーラムに続き、全大教のQ&Aを全教職員に配布するなど、とりくみを強化しつつありますが、事態は急速に展開しています。
国立大学に働く者にとって重大なこの問題をめぐる議論で、警戒する必要があるのは、なしくずし的タレパンダ路線=不確実な情報を氾濫させるなかで法人化路線を既成事実化するやりかたです。第1回フォーラムでとりあげた「藤田論文」にしても、先日の「日経社説」にしても希望的観測を事実に優先させた議論であり、冷静な対応が求められます。いま確実なのは確定ずみの「独立行政法人通則法」であり、考慮すべきは先行して法人化した機関の実態とここに至る経過(一連の「大学改革」および「行財政改革」)の本質にあると思います。タレパンダに騙されないよう注意しましょう!   [1999.8.21星川]

■ 第1回くみあいフォーラム「独立行政法人制度と国立大学の今後のあり方―
これまでの取り組みと今後の対応」31名の参加で盛会

 第1回くみあいフォーラムが行われました(7月22日18:00〜20:00,於法学科会議室,JSAとの共催).われわれ教職員全員が関係するテーマであることもあって当日は31名の参加があり,緊迫した雰囲気の中で議論が進められました.
 フォーラムでは,まず中執の長山氏から「独立行政法人化問題に対する組合のこれまでの取り組み」という内容で,昨年度の中執で作成した「国立大学の独立行政法人化に関する見解」の内容を中心に報告がなされました.次に同じく中執の田村氏が「独立行政法人制度の解説―藤田『国立大学と独立行政法人制度』論文の読み解き」というタイトルで,ジュリスト6月号(No.1156)に掲載された「藤田論文」について解説を行いました.
  [*「藤田論文」の概要については、下記を参照してください。]
 報告の後,活発な議論がなされました.特に島根大学としての,法人化問題への対応策を早急に検討しなければならないこと,そしてそのタイムリミットが間近に迫っているという情報は,参加者全員に大きな衝撃を与えました.また独立行政法人化が重要かつ緊急の問題であるにもかかわらず,その情報が学内の教職員に行きわたっていない点が指摘されました.組合として,独立行政法人化に対する学内議論の形成を働きかけるとともに,この問題に関するフォーラムなどを今後も積極的に続けていく予定です.

■「藤田論文」とは?――

 藤田宙靖「国立大学と独立行政法人制度」(ジュリスト1156号,1999.6.1)はおおよそ 以下のような内容です。
 国立大学の独立行政法人化については平成15年度までに結論を得ることと、中央政府の各種文書には明記されている。しかし、現実問題としては、国立大学が独立行政法人への移行に関して決断するまでに残されている時間は予想外に少なく、現在の政府の方針を前提とする限りは、平成12年の7月頃までには、その結論を(しかも積極的な方向で)出すことが、強力に求められているはずである。
 しかしながら、全国の国立大学において、問題のそのような緊急性が理解され、検討が内部的にせよ進められているのかについての疑念がある。そのため、この問題を検討するに当たって何をどのように考えてくべきかについてのいくつかの視点を提示することが、この論文の目的である。
 「独立行政法人」とは何かということ自体分かりにくい面が多い。その原因は、そもそも当該制度を導入するに至った背景が、国家行政を「減量」するという目的を果たすため、とにかく一定の業務を国家行政組織の仕事から「はずす」ための仕組みとして当該制度が考えられてきたことにある。その際、念頭に置かれていたのは、一般行政の事務・事業、とりわけ、当該業務の「効率」的な実施というものを考えることが可能な分野(より具体的には、自動車検査、航空機検査等の各種の「検定検査」)である。
 問題は、このような基礎にある独立行政法人制度を国立大学に適用しようとするときに、その是非をいかなる視点から検討すべきか、ということになる。基本的なものは、現在の国立大学が享有している「人事及び研究教育における自由の確保」の視点、独立行政法人制度においていわれる「効率性」に関して、国立大学における研究教育に即した理解がされているかという視点などである。
 今回の独立行政法人制度が、そもそも国立大学を直接の対象として考案されてきたものでないのであるから、それらの視点から検討した結果、国立大学に現状制度上においてもすでに認められている人事及び研究教育における自由が独立行政法人化によって削減されるようなことになったり、効率性について国立大学の性質に即した適正な理解がなされず、したがって、上記の一般行政分野と同様な判断がなされるようなことになるならば、今回の独立行政法人制度は、国立大学にはその性質上ふさわしくない制度であると結論せざるを得なくなるであろう。
 国立大学として、今回の独立行政法人制度に乗るか否かについては、政治的な状況など様々な状況を含めての総合的な判断が必要となっている。     (要約:田村達久)
 この「藤田論文」に対しては、東京大学職員組合より「国立大学の独立行政法人化に断固たる拒否を!―「ジュリスト」藤田論文批判―」、「藤田氏の三つの立場と三つのトリック―藤田論文批判―」(『東大改革』18・19号、共に1999.7.21)という批判も発表されており、注意深く検討する必要があります。

 なお、上記の「藤田論文」、東大職組の批判文をはじめ、独立行政法人化に関する資料はBOXに用意しています。


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