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くみあいニュース

1999年度第19号
2000年3月9日


島根大学教職員組合広報部
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■第3回くみあいフォーラム
「大学における日の丸・君が代を考える」開催される

 1月21日に教育学部・第1会議室において、第3回くみあいフォーラムが開催された。当日は大雪にもかかわらず、大勢の方々に参加していただいた。準備した資料が不足するほどの盛況で、充実した報告と白熱した討論が行われた。
 はじめに横田委員長から「今回のフォーラムは『日の丸・君が代』に反対する集会ではない。民主的な議論と意見交換の場として、『日の丸・君が代』問題について勉強してきたい」旨の説明があった。
 フォーラムは、まず法文学部・竹永三男氏から「大学における日の丸・君が代を考える−新制大学と『日の丸』」という内容の発表がなされた。法制化することの問題として、
1:戦争のシンボルとしての国歌・国旗の歴史的背景、2:法制化に至る経緯が議論半ばでの強引な決定であったこと、3:『日の丸・君が代』を尊重しない者はあたかも「非国民」であるかのような行政当局者の発言、が指摘された。
 次に法文学部・中村新一郎氏から「'99 国旗・国歌に対する大学生の意識調査」の発表があった。『日の丸・君が代』問題について、島根大学と鳥取大学の学生を対象にしたアンケート結果を分析すると、大学間、男女間の差はあまりなく、賛成・反対はほぼ同数であった。ただし、どちらとも言えないという意見が57%と多い。また『日の丸』に比べて、『君が代』の方が抵抗感があることが報告された。
 次に法文学部・渡辺久丸氏から「『日の丸・君が代』法の問題点」という発表がなされた。この中で、法制化したことの問題点と、『日の丸・君が代』が戦後生き残った理由は「象徴」天皇制にあることが説明された。また、国旗・国歌は国が決めるものではなく、国民が選ぶものであるとのコメントがなされた。
 最後に法文学部・小林久高氏から「民主主義・公共性・大学と国歌」という発表がなされた。内容は、「民主主義とは何か」という素朴な疑問からはじまって、大学の自治へと話題が広がっていった。まとめとして、大学は権威から独立していなければならないこと、大学の社会的役割として、公共的知識(および知識人)を提供しなければならないことが強調された。
 引き続き行われた総合討論では、明治以前の『日の丸』成立の歴史的背景などのコメントがなされた。特に注目すべきことは、学生参加者から「学生のほとんどは、『日の丸・君が代』問題についてどちらでもよいと考えている。現在の世の中は情報の垂れ流し状態であり、学生は情報をそのまま受け取ってしまうという危険性がある。 教官が『日の丸・君が代』問題について、学生に考えるチャンスを与えてほしい」という意見が出された。
 なお、当日はマスコミからの取材申し込みがあり、後日新聞にフォーラムの内容が報道された。

■「日の丸」掲揚に反対する要望書を学長に提出(2.4)

 2月4日、学長宛に下記のような「日の丸」掲揚に反対する要望書を提出しました。

2000年2月4日

島根大学長
吉 川 通 彦 殿

島根大学教職員組合
中央執行委員会

島根大学における「日の丸」掲揚に反対する要望書

 標記の件につき,私たちはすでに開学50周年記念式典の際(10月15日付)および天皇在位10周年行事の際(11月8日付)の二度にわたり、要望書を提出しております。その趣旨は、以下の通りです。
  1. 学問・思想の自由を尊重し、「日の丸」に対する多様な意見があることをふまえ、掲揚は行わないこと。
  2. 学内の充分な議論を通じて、自主的・自律的で民主的な合意形成を行うこと。

 去る1月17日の評議会において示された「学長見解」は、法制化以降、国の機関や省庁等の多くで「日の丸」掲揚が行われているという社会的状況を踏まえ、来る卒業式において「日の丸」を掲揚したいという旨のものであると聞きました。しかしながら真の意味での「社会的状況」とは、単に掲揚する例が増えているというような表面的な事柄ではなく、掲揚が行われた結果がどうであったか、矛盾や混乱はなかったか、などの部分まで含み込んだものであるはずです。
 大学において掲揚を行うことへの反対論・慎重論は、単に「日の丸」に対する好悪という個人的感情にのみ基づくものではありません。私たちは、「日の丸」についてのくみあいフォーラム(1月21日開催)でも議論を深め、大学には、国の諸機関や省庁とは異なり、自律的に学問を行う社会的責務が課せられているという認識を持ちました。「大学という場」にとって「日の丸」掲揚とは何か、という議論を回避することは許されません。貴職がどうしても掲揚を主張されるのであれば、この点に関する明確な見解を示されるべきです。
 また、最終的に学長判断によって決定する、と聞きました。貴職は、学長選挙の際に所信で「ガラス張りの運営」「構成員の充分な理解を前提とする」と明言されました。今回、構成員のあいだでの充分な理解に基づく合意形成がなされないまま学長が独自に判断することは、この所信とは矛盾するのではないでしょうか。
 学内において充分な理解が得られなかった場合、掲揚については当面保留とし、保留ゆえの不掲揚であることを学外に明言されるのは、一つの有力な選択肢であると考えます。時間を費やしても議論を尽くし、充分な理解に基づく合意形成が行われるべく、貴職が、真の意味でのリーダーシップをとられるよう強く要望いたします。


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