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                                                         平成16年11月29日

 国立大学法人島根大学

 学長  本田 雄一 殿

                                      島根大学職員組合

                        中央執行委員会委員長 谷口 隆雄


               
要求書

 

学長に置かれましては、法人化による財政危機ともいえる時期において大学運営に精力的に努力されておられることに敬意を表したいと思います。

 さて、法人化後の島根大学を振り返ってみるに、我々島根大学で働く者の労働環境はますます悪くなろうとしています。法人化後、8ヶ月あまり経った現在、特に要求したい事項について取りまとめて提出します。早急に誠意を持って交渉にのぞみ、回答をいただけるよう要請いたします。

 

1. 組合ボックス移転先について

  組合ボックスは現在、法文棟に置かれているが、法務研究科が加わったことなどによって設置面積上まったく余裕がなく、次回の改築時に移転しなければならない可能性が高い。遅かれ早かれ移転する必要があるなら、早いうちに移転しておきたい。場所としては、全学的な活動をしている組合であるので、西川津キャンパスの中心付近を希望する。部屋は現在の組合所有の機材が保管でき、十数名の会議が開ける面積が必要である。

要求事項

 組合ボックス移転先を組合と協議をして早急に決定すること

 

2.労務担当理事について

  今後は従来以上に、大学当局と緊急に交渉しなければならない事態が生じると予想される。労務担当の理事を設置してその対応にあたれば、迅速に対処できるはずである。そもそも、島根大学規模の組織にあって、労務担当の役員がいないということは非常に不自然なことではないのか。

要求事項

労務担当理事を置くこと

 

3. 大学財政について

  法人化による財政予測に不手際があったのではないだろうか。法人化後の大学財政が非常にわかりにくく、職員の間に不安と混乱を引き起こしている。経営陣は、このことに対する責任を痛感すべきである。例えば、国から大学におりている運営費交付金に関して、その積算根拠ならびに用途の縛りについて、また学内における人件費・基礎的配分経費・予備費・政策的配分経費・評価的配分経費の積算根拠、配分方法の運用方針(例えば昇格・採用・非常勤職員の数・任期制・・)について、説明責任を果たしてほしい。さらに、今年度の研究費が半減し、教育研究活動に支障をきたしている状況であるが、来年度以降の見通しについても明らかにしてほしい。

  また、他にも不明瞭な事項が多くある。たとえば最近、人件費管理WGというところから(このWGはどのように組織され、いかなる構成になっているかが不明である)「人件費管理に関する当面の対応と中期的方針」(未定稿)が出された。そこには、毎年教員人件費約3人分が削減され、事務系職員人件費にあっては毎年8〜9人分が削減される等、厳しい内容が記載されている。これは、現状のままであれば、人件費削減なくしては赤字財政になるという意味なのだろうか。もし、そうだとしても、人件費削減を云々する以前に、経営陣の具体的な経営努力が示されるべきではないのだろうか。現在のような報告のみでは、大学を支えている労働者の不満・不安を助長するだけなのではないだろうか。また、財政難を口実とした人員削減は労働条件の悪化につながり、今春のような状況に再び陥ることが危惧される。

  加えて、大学は、人事院勧告に対してどのような方針で望もうとしているのか。給与については「本学独自の新たな給与制度導入までは国家公務員の給与改定に準じて改訂をしていく」とあるが、「本学独自の給与制度」は現在どのような状況にあるのか。また、特別昇給制度に関しても「新たな業績評価制度」が実施されるまでは、これまで通りの特別昇給制度を続けるとあるが、この「新たな業績評価制度」とはどのような内容になるのか。

要求事項

 @ 人員削減には反対する

 A 大学財政(お金の流れ)を全職員に明らかにするため、財務諸表などを公開すること

 B 平成17年度予算編成方針の中で財政基盤の強化が挙げられているが、具体的な経営努力の施策を示すこと

 C 今後の人事院勧告に対する方針を明らかにすること

 

4. 業務上事故の補償について

  現在、多くの教育職員が自家用車を業務用に供している。これは「大学の業務」(業務性)を、大学側の都合(経費面と運用面、例えば時間など)によって、やむなく職員が代替しているということであって、現状のままでよしとすべきことではない。この行為を公的に位置づけ、規則を制定し、その際、同乗者、対人対物の補償について、大学が責任を負うことを明確化すべきである。このこととならび、学外での学生の実習中の事故については、大学側がそれに対する保険契約をすべきである。

要求事項

 @ 危機管理のあり方を明確化すること

 A 職員が業務上発生した補償問題について、大学側の資金準備の状況について明らかにすること

 B 職員が自家用車を実習等の業務用に供することを認め、その指針を明確化すること

 

5.各種休暇について

  すでに他大学では、年次有給休暇の時間単位取得・非常勤職員(日々雇用、時間雇用)の夏期休暇取得・非常勤職員(時間雇用)の忌引き休暇の制度について、組合と労働協約を結んで、それを実施しているところがある。働きがいのある職場作りを目指すためには、非常に重要なことであろう。

要求事項

 年次有給休暇の時間単位取得・非常勤職員(日々雇用、時間雇用)の夏期休暇取得・非常勤職員(時間雇用)の忌引き休暇を認めること

 

6. 病休者発生に対する説明責任について

  今年の春および9月に病休者が出た。その原因についてどのような認識を持っているのか、明らかにしてほしい。これらのことを未然に防ぐことはできなかったのだろうか。病気で休まざるを得なかった者は被害者である、という認識を強くし、今後このようなことがないよう対処してほしい。

要求事項

 @ 本年3月及び9月に発生した病休者について説明責任を果たすこと

 A 新たな病休者の発生を防ぐための適切な措置を行うこと

 

7.  事務系職員の昇格基準について

  法人になった今年度、昇格スケジュールが大幅に遅れているのはなぜか。現在まで何の説明もなされていない。このまま昇格がなされないのならば職員の不安や不満はつのるばかりで、当然ながら、学長が春に公言した「やりがいのある職場」からはほど遠い。国家公務員制度に準ずると言った以上は、昇格も遅滞なくきちんと行うべきである。

要求事項

 事務系職員の昇格基準を明確にし、今年度昇格が予定されていた職員について早急に昇格させること

 

8. 男女共同参画事業について

  我が国は、男女共同参画を「二十一世紀我が国社会を決定する最重要課題」(男女共同参画社会基本法:1999年)として位置づけている。2000年には国大協も「2010年までに国立大学女性教官を20%にする」という目標を掲げ、いくつかの大学では男女共同参画の動きが活発化している。島根大学でも中期目標に女性職員の増加がうたわれているが、具体的にどのようなことが実施されようとしているかは不明である。今後更なるポジティブ・アクションを推進すべきである。

要求項目

 @ 中期目標には掲げられている女性職員の比率増加等を推進するための、具体的な方法を明示すること

 A 育児休暇を、ただ同僚の代講や集中講義によってカバーするのではなく(これでは実際、休暇が取りにくい)、21世紀職業財団などの支援制度を積極的に活用して、育休が取りやすい体制を作ること

 B 男女共同参画事業の推進母体および推進内容を明確にするために、例えば「男女共同参画委員会」等を立ち上げること

C「次世代育成支援策推進法」(2003年)により、大学も2005年までに「次世代育成支援対策」ならびに「行動計画」を策定し提出する義務があるが、島根大学ではどのようなことを推進しようとしているのか、明らかにすること

 

9. 独身宿舎について

法人化後、松江地区において、新たに大学としての独身宿舎の貸与が無くなった。独身者の宿舎貸与希望者に対する代償処置をどのように考えているのか、明らかにしてほしい。今年度作成された「国立大学法人島根大学宿舎規則」の第9条有料宿舎を貸与する者の選定において、職名区分の順に選考すると、若年層の独身者は実態として入居できない。

要求事項

  法人化後に無くなった独身者用宿舎を保証すること

 

10.手当等の変更について

  今回の寒冷地手当変更に関しては、人事院勧告準拠とはいえ我々労働者にとっては不利益変更である。このような不利益変更が急に提出されるような状況では、安心して働くことができない。よりよい職場作りのためにも、今後の方針について明らかにしてほしい。

 要求事項

  寒冷地手当以外に、今後手当に関して変更が生じてくるのか、明示すること