2000年2月4日

島根大学長
吉川通彦殿

島根大学教職員組合
中央執行委員会

島根大学における「日の丸」掲揚に反対する要望書

 標記の件につき,私たちはすでに開学50周年記念式典の際(10月15日付)および天皇在位10周年行事の際(11月8日付)の二度にわたり、要望書を提出しております。その趣旨は、以下の通りです。

  1. 学問・思想の自由を尊重し、「日の丸」に対する多様な意見があることをふまえ、掲揚は行わないこと。
  2. 学内の充分な議論を通じて、自主的・自律的で民主的な合意形成を行うこと。

 去る1月17日の評議会において示された「学長見解」は、法制化以降、国の機関や省庁等の多くで「日の丸」掲揚が行われているという社会的状況を踏まえ、来る卒業式において「日の丸」を掲揚したいという旨のものであると聞きました。しかしながら真の意味での「社会的状況」とは、単に掲揚する例が増えているというような表面的な事柄ではなく、掲揚が行われた結果がどうであったか、矛盾や混乱はなかったか、などの部分まで含み込んだものであるはずです。
 大学において掲揚を行うことへの反対論・慎重論は、単に「日の丸」に対する好悪という個人的感情にのみ基づくものではありません。私たちは、「日の丸」についてのくみあいフォーラム(1月21日開催)でも議論を深め、大学には、国の諸機関や省庁とは異なり、自律的に学問を行う社会的責務が課せられているという認識を持ちました。「大学という場」にとって「日の丸」掲揚とは何か、という議論を回避することは許されません。貴職がどうしても掲揚を主張されるのであれば、この点に関する明確な見解を示されるべきです。
 また、最終的に学長判断によって決定する、と聞きました。貴職は、学長選挙の際に所信で「ガラス張りの運営」「構成員の充分な理解を前提とする」と明言されました。今回、構成員のあいだでの充分な理解に基づく合意形成がなされないまま学長が独自に判断することは、この所信とは矛盾するのではないでしょうか。
 学内において充分な理解が得られなかった場合、掲揚については当面保留とし、保留ゆえの不掲揚であることを学外に明言されるのは、一つの有力な選択肢であると考えます。時間を費やしても議論を尽くし、充分な理解に基づく合意形成が行われるべく、貴職が、真の意味でのリーダーシップをとられるよう強く要望いたします。