1999年4月6日

島根大学長
吉川通彦殿

島根大学教職員組合
中央執行委員長 中山正吉

要求書

貴職におかれましてはご健勝のこととお慶び申し上げます.また,学長ご就任にあたり,お慶びを申し上げるとともに,今後のご健闘をお祈りします.

現在は,世界的な規模での社会の大変革期にあたると認識しています.構造的不況,価値観の多様化,科学技術の進歩に対する不安,環境問題の深刻化,少子化・高齢化など多様な問題が噴出しています.そのような中,大学も,これまで育ててきたものをよりどころにしつつ,改革によって新たな姿へ脱皮することが社会から要請されています.
組合も,教員・職員という立場を超えた,また,学部の違いを超えた教職員の自由な対話から新しい島根大学を創っていきたいと考えています.そのような対話を通して,島根大学の未来が開けると考えています.いかなる組織もそうですが,組織を生き生きしたものにするためには,制度にもとづいた情報伝達・意思決定・命令の通路だけでなく,内部に自発的で自由な集団があることが必要です.そこでの民主的で活発な議論こそが組織を活性化させ,変革のエネルギーを作り出していくものと確信しています.組合は,大学全構成員の3分の1以上のメンバーを抱える自主的団体として,これからも,構成員に情報と対話の場を提供し,希望をもって働ける大学を創るために努力していきたいと考えています.

つきましては下記の通りの要求事項について早い時期に交渉を持ちたく思いますので,日程について早急に協議くださるようお願いします.

1 大学改革について

大学審議会の答申がまとめられ,島根大学にも本格的な改革の波がおとずれつつある.教職員組合もこの問題を避けて通らず,真摯に対応していこうと考えている.改革案は「組織運営体制改革推進委員会」でその具体的内容が検討されていると聞くが,私たちは,構成員が大学改革についての情報を自由に集めることができ,それをもとに十分な議論が展開でき,そのなかで大学全体にとって望ましい案が定められていくという民主的プロセスこそが,改革を実り豊かなものにしていくとともに,構成員の帰属意識を高め,働きがいのある大学を作り出していくと考えている.そのことの実現のために,いくつかのことを要望したい.

1.1 改革案策定に関して

(1)島根大学の改革案の策定をどのように進めていくのかについて,組織運営体制改革委員会の役割等も含めて教えていただきたい.
(2)今どこでどのような議論がなされているのか,それが改革全体のなかでどのように位置づけられるのか,といったことがすべての教員・職員にわかるようにしていただきたい.
(3)教員・職員の意見をフィードバックする通路を設けていただきたい.
(4)関連する委員会の相互調整を密にし,計画的な議論の進行を図っていただきたい.

1.2 改革案(組織運営体制改革推進委員会)について

(1)第1部会(組織運営体制)
(2)第2部会(学生サービス)
(3)第3部会(事務組織)

2 教職員の賃金・労働条件について

2.1 級別定数の改善と公表について

職員にとって,賃金をとおした職務への正当な評価が,勤労意欲と職務への士気を高めることにつながる.国家公務員である職員の賃金の改善のためには,上位級への昇格が必要である.
国家公務員の級別定数の比率は資料1の通りで,文部省職員にあっては上位級の比率が非常に低いのが現状である.島根大学においても状況は同様であろう.国立大学に対する国民の期待は大きく,また高等教育と研究を担う大学は非常に重要な機関であり,そこに勤務するものはその地位と職務に応じた評価を受けるべきであると考える.したがって,級別定数の格差は是正されるべきである.
ところで,この級別定数は,各機関の要求に基づき各省庁が人事院と協議をして配分している.したがって,島根大学の職員の,上位級への昇格をとおした待遇改善は島根大学からの要求にかかっているといえる.学長の責任において,他大学や他省庁と比較して見劣りのしない級別定数の確保をお願いする.
また,今後の組合と大学との話し合いの基礎となる,当大学における級別定数を明らかしていただきたい.

2.2 超過勤務について

2月12日付の組合からの質問状に対する3月8日の回答において,「年間を通してかなり超勤が多い状況」であり,しかも超過勤務手当が支給されていないいわゆる「サービス残業」がおこなわれていることについても「予算の都合により実働時間より少ない状況である」と認めておられる.当然,事務機構の改編は,このような実態を改善するためという目的もあるだろうし,教職員組合はこれまでの交渉でそのように要求してきた.
この問題をどのように考えておられるか明らかにされたい.

2.3 一時金の支給について

1998年6月期から,勤勉手当における成績率の配分が変更になった.昨年10月28日の庶務課長交渉で公正な運用と結果の本人への通知をお願いした.このことについて改めてお願いする.

2.4 教務職員について

国大協で教務職員制度の廃止を検討している.島根大学における教務職員の待遇改善についての考え方を明らかにされたい.

2.5 日々雇用職員について

日々雇用職員の待遇改善,とくにいわゆる2-4頭打ちの解消と住居手当相当額の支給をお願いしてきたところである.
2-4頭打ち解消に関しては,昨年12月3日の庶務課長交渉において,来る5月の部局長会議を経て予算委員会に提案する旨の回答をいただいた.この件に関して,約束どおり進めていただきたい.
また,住居手当相当額の支給に関しては,昨年12月7日の学長交渉時に再検討をお願いし,2月12日付の質問状に対する3月8日の回答において,「今後,更に他大学での支給の実態を調査,分析し,支給することを検討していくこととする」という回答をいただいている(現状については資料2).その後の調査と検討の状況はいかがか.また,組合側のその後の調査によれば,支給要件を充たす職員へ支払う額は,全学で年額最大約360万円(最小160万円)であり,全学において多大なコストがかかるという性質のものではない.早急に検討し,上述の2-4解消と同時の解決を求める.

2.6 教員の任期制について

島根大学においては,教員の任期制を導入しない決定をし,1998年5月21日の交渉でも確認している.この問題についてどう考えておられるのか.また,大学の教育研究の活性化のための方策としてはどのようなものを考えておられるか.

3 学内の環境と福利厚生について

3.1 セクハラについて

現在,部局長会議において島根大学におけるセクハラ防止のためのシステムの検討をおこなっているはずである.組合では,昨年10月8日付の要求書においてこの問題について5点の項目を掲げて改善をお願いしてきた.その後の進捗状況ははかばかしくないように見うけられる.改めて,同じ5点を要求する.

3.2 大学会館について

この3月に島根大学において大学生協が営業を開始した.しかしながら,店舗面積はこれまでと変わりなく,特に購買・書籍部門の面積は他の同等規模の国立大学に比べて狭く,充分なサービスが提供できていないのが現状である.そこで,計画されている大学会館の早期実現を目指されることを要望するとともに,学生と教職員の快適な食生活のために既設の第一食堂へのエアコンの設置ならびに厨房部分の改築を行うことを要望する.

3.3 駐輪場,駐車場の整備について

学内では,学生や教職員の駐輪によって歩行,自動車の通行などに支障をきたす状態が見うけられる.駐輪場の整備と,駐輪に関する明確な指導方針を示し,学内の交通環境と美観を改善されたい.
また,現在学内の各所で工事が進行中であるという現状もあるが,根本的に駐車場が不足し,通勤,学外への自動車を利用した外出,学外からの自動車による来客などの際に不便が生じている.抜本的な対策を立て,この問題を改善されたい.

3.4 「事業所」としての大学の環境対策について

大学は,社会から見た場合にはひとつの事業所であり,近年環境への配慮が求められていることを考えれば,ISO14001 の取得をめざすべきであると考える.この努力を通して,ゴミの分別,廃液の処理や,エネルギーの節約といった諸問題を包括的に改善すべきである.
そのための部署を学内に設置し,それに見あう職員の純増と職名定数,級別定数の獲得をおこなっていけばどうか.